2015年3月アーカイブ

 平成27年1月23日(金)香川県高松市円座町にある相念寺を訪ねまし
た。円座町は高松駅から約8キロメートル離れた南に位置し、円座町
の名前の通り、古くは菅(すげ)で編みこんだ着席用の敷物の円座が
多く生産されていました。


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 真宗興正派 相念寺は昭和47年入学の葛西一さんが住職をつとめ
るお寺です。真宗興正派は香川県が一番寺院数が多く、私は真宗興
正派のお寺を訪ねるのははじめてで、個人的に結構楽しみにしていま
した。
 相念寺は円座町の静かな在所の中に、溶け込むかのように本堂、
鐘楼、庫裡がありました。この地域ではお寺のご門徒というくくりだけで
はなく、ご門徒としての親寺はあるのですが、法座は近くのお寺にお参
りされるそうです。葛西一さんの話によると「だから門信徒というとらえ
方が一番良いと思います。門信徒は複数のお寺にお参り合いをし、門
信徒の判断によって、お寺を使い分けされます。それがこの地域の特
徴だといえます」と話してくれました。

 私はこの門信徒のお話を聞いて、お寺とお寺の垣根がないことは良
いことだし、ご門徒が複数のお寺にお参りするということも良いことでは
ないかと思いました。それだけこの地域の信仰心の深さを感じました。

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 本堂は伝統と歴史の香りがする落ち着いた本堂でした。真宗興正派
の本堂、内陣を見て、本願寺派も、大谷派も、高田派も、仏光寺派も、
真宗興正派もほとんど変わりがないというのが印象でした。当然、左の
蓮如上人は違いますが、後は同じ浄土真宗のお寺です。
 ただ、相念寺は親鸞聖人が絵像ではなく木造でした。「真宗興正派は
ふつう絵像なのですが、うちはなぜか木造なのです」というお話でした。

 私は本堂を見せて頂いているうちに真宗興正派の正信偈が聞きたく
なってきました。一体どんな正信偈の節なのだろうか、これは次の楽し
みにしました。びっくりしたのは「坊守さんと写真を撮らせて下さい」とい
と、住職さんは黒衣の裾を開いて正座をされました。「それが正式な
正座なのですか」と尋ねると「真宗興正派は正座の時、黒衣の裾を開く
のが正式な正座なのです」と答えられました。

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 せっかくなので葛西一さんに高松興正寺別院も案内していただきまし
た。葛西一さんは高松興正寺別院の輪番も兼任されていました。高松
興正寺別院は昭和20年に空襲で全焼し、しばらく仮本堂の状態でした。
そして、昭和29年に上棟式を挙行し、昭和34年に落成しました。

 高松興正寺別院の伝統と近代的なデザインが融合した白亜の五階
建ての本堂は、高松の街中に悠々と存在感を表していました。そして、
シンボルの最上階の多宝塔が、見守るかのように市内を見下ろしてい
ました。

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 多宝塔は建築学的にも珍しく、いろいろな方が見学に来られるそうで
す。本堂は趣のある落ち着いた本堂でした。見上げると回廊が本堂を
取り囲み歴史の風情を感じました。回廊の奥は大きな台所や研修室な
ど、多目的に考えられた部屋がいくつもありました。

 戦後の復興の中でこれだけの本堂を落成するには、本当に僧侶、門
信徒の大変なご苦労があったと思います。今では高松興正寺別院は
聞法の場はもとより、習い事の稽古場、大学生の合宿所などにも活躍
し「ご坊さん」として親しまれていました。本当に伝統と歴史の中に、趣
ある良い別院だと思いました。

 住職さん、坊守さん、寺族の皆さんありがとうございました。

                               真宗ネットワーク50
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松山市 万徳寺の報恩講

 夏目漱石の坊ちゃん、道後温泉で有名な愛媛県松山市、万徳寺は
松山城の近くの市内の中心地、三番町にありました。
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 万徳寺は昭和49年入学、越智八重子さんが坊守として、お念仏の
慶びを広めるお寺です。越智八重子さんが真宗ネットワーク大会に
来られた時、「万徳寺の自慢は報恩講前日のお寺の掃除と、お餅づ
りなんです。本当にご門徒の方々、仏教婦人会の方々が一生懸命
掃除やおけそくづくりをやってくれます」ときっぱりと発言されました。

 そのきっぱりとした発言が印象的で、ぜひ報恩講前日の準備を取材
したいと思い、平成27年1月21日(水)に万徳寺を訪ねました。


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 午前9時過ぎに万徳寺に着くとすでに本堂の掃除がはじまっていまし
た。住職さんを中心に、内陣のたくさんの磨きものの一つ一つ、外陣の
床、喚鐘、窓の桟に至るまで、きれいにされていました。

 お寺の掃除というと、どうしても義理掃除というイメージがあるのです
が、皆さんそんな感じは全然なく、楽しそうに一生懸命まるで自分の家
のように大切に丁寧に掃除をされていました。

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 会館の台所、大広間は「おけそく」のお餅づくりで賑わっていました。
蒸したもち米を突き上げ、平たく均等にのばし、かたぬきをし、デーブル
の上に並べて乾かしていきます。見ていると皆さん得意・不得意も把握
されているのか、自分の役割が決まっていて、持ち場持ち場をテキパ
とスムーズに作業されていきます。

 お勤めだけではなく、みんなでお寺で何かをつくるということは、本当
に大切なことだと思います。それが報恩講ならなおさら大切だと思いま
した。万徳寺に来て、1時間もたたないのに「万徳寺の自慢は、報恩講
前日の掃除とお餅づくりです」と発言された越智八重子さんの意味が実
感として良くわかりました。本当に皆さん「おけそく」のお餅づくりは楽し
そうでした。皆さん力を合わせて午前中に約3000個もの「おけそく」のお
餅がきれいに並びました。

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 さらに、あん餅もつくられました。皆さん手慣れた様子で、お餅にあん
をくるみ、次々に、おいしそうなあん餅が出来上がっていきます。テー
ブル囲み楽しい笑顔が隣から隣へと連鎖していきました。


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 お昼は皆さんと一緒にお弁当を頂きました。楽しい会話がテーブル
からテーブルへと飛び交います。知らず知らずの間に会話の内容を
聞いていると学ぶべきことがたくさんありました。
 「私のモットーは明るく元気なこと」
 「人を大切にすることが、自分を大切にすることにつながるし」
 「年寄りは伝えていかなあかん、伝えるのが仕事や」
 「お寺来ると、なんか若返るわ」などなど、
笑顔の中で、お互いを思いやる会話がはずんでいました・

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 午後からは今日のハイライト「おけそく」づくりがはじまりました。「おけ
そく」は4つのチームに分かれて4つつくられました。「おけそく」のつくり
方は、円筒の台に竹ひごでお餅を刺していき、周りにセットしていきま
す。そして、さらに、その刺した竹ひごのお餅とお餅の間に、お餅をはさ
んでいきます。

 「おけそく」は下から順に抜けているところがないか、声をかけ合い
ながら行われました。「はい、次いきます。はい、はさみます。はい、
はさみました」各チームから明るい声が聞こえます。

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 「おけそく」の完成が近ずくと、皆さんの表情に満足感と笑顔が少し
ずつ漂ってきます。早いチーム、遅いチーム、色々に他のチームの
出来栄えが気になります。
 「あこきれい、でも、うちもきれい」
 「もう完成したの、あせらないあせらない」
 「できたー、完成ー」拍手
1時間余りををかけて4つの「おけそく」が完成しました。

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 皆で一生懸命つくった「おけそく」が阿弥陀様と親鸞様の前にお荘厳
されていきます。仏教婦人会の皆さんはいつまでも満足げにお荘厳さ
れた「おけそく」を眺めていました。万徳寺の報恩講前日準備は寒い冬
の1月に、お寺を思い、報恩講を大切に思う、ご門徒のあたたかい心で
あふれていました。


1月22日(木) 報恩講1日目
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 晴れ渡る冬の空に万徳寺の仏旗がなびきます。午後1時、住職さん
の挨拶、喚鐘とともに、組内の法中さんで構成されている楽人さんの
奏楽が荘厳に万徳寺の本堂を彩ります。四国はお遍路もあって真言
宗の色濃い地です。その中で浄土真宗の存在は・・・と思っていたので
すが、万徳寺の報恩講の正信偈を聞いて、そんな気持ちはどこかに
飛んで行ってしまいました。
 万徳寺の報恩講の正信偈には大切に浄土真宗のお念仏の慶びが
相続されている伝統と歴史がありました。

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 報恩講の法話のご講師は、岡山県備後教区 正玄寺の山下瑞円 師
でした。高めの声が、はっきりとよく通る、爽やかなご講師さんでした。
山下瑞円 師はご本山の歴史から、乗り物を例に、阿弥陀様のご本願、
さらには救いについてお話されました。お参りのご門徒の方々も熱心に
山下瑞円 師のお話を聞いておられました。
 
 ご法話が終わり、お話をする機会があり、堂々と話されていたので、
「お若いのに話される緊張感とかプレッシャーはないのですか」と尋ね
ると「ありますよー、だからできるだけ勉強したいと思っています」という
答えが返ってきました。なるほどそうだと思いました。

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 報恩講が終わり、坊守さんが帰られるご門徒さん一人一人に声をか
られ、お話されていました。その姿からはご門徒一人一人を大切
されているという姿勢が伝わりました。
 万徳寺を取材して「万徳寺の自慢は報恩講前日の掃除とお餅づくり
です」の坊守さんの発言が良くわかりました。「自慢してください、自慢
以上のものがあります」と言いたい気持ちです。

 住職さん、坊守さん、ご門徒さん、本当にいろいろ
ありがとうございました。

                                真宗ネットワーク50
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